こちらはアナンダさんの「賢い藍染めセット」というキットを使用した犬毛藍染めのキロクです。
以前の草木染めの記事でも少し紹介していますが、こちらはより詳細な記録となります。
藍染めの仕組み
通常の草木染では煮だすなどで抽出した色素を繊維に浸透させて染めますが、藍染は酸化還元反応を使って染めます。藍の染料そのままでは繊維に浸透せず染まらないのです。
この還元させて染まる状態にすることを「藍建て」と言うようです。藍建てし、染めた後、空気に触れさせて酸化することで染料が繊維の中で定着します。
材料
- 賢い藍染セット… 天然インド藍10g、ソーダ灰(10g)、ハイドロサルハイト(10g)、藍建て用ポリ袋、染浴用大ポリ袋、染め方説明書
- 染めたもの… チャウチャウ犬毛(エイドリアン、ティティの抜け毛)、羊毛、絹布、麻布、綿バッグ
- 道具… 乳鉢(茶碗で代用)、乳棒(ステンレス製お玉で代用)、コップ(藍建て用ポリ袋の仮置き用)、温度計、汚れても良い服、手袋、汚れ防止の敷物
- その他… 酢(穀物酢、羊毛・犬毛の色止め剤として)

今回使用したキットでは約1kgの原毛を染められるとのことだったので、染めるものとして用意したのは犬毛+羊毛約850g、1mx20㎝くらいの絹布、80x50cmくらいの麻布、小さめの綿バッグです。
手順、実際やった方法と結果
今回のキットでは還元剤としてハイドロサルファイト、効果的に還元するためにアルカリ剤としてソーダ灰が使われています。還元剤・アルカリ剤は少しずつ酸化されて効果が失われてしまうので、購入後ひと月以内の使用が推奨されています。
藍染め染液は温度が下がったり空気に触れて酸化してしまうと染まらなくなります。今回一気に染めきることができず、寝かせておいた染液に還元剤を加えることで2回に分けて染めました。1回目と2回目は約2ヶ月離れています。便宜上、1回目に染めたものを1番染め、2回目に染めたものを2番染めと呼びます。
1番染め(2025年1月)
まず藍建てをして染液を作ります。
藍の粉を乳鉢(茶碗)・乳棒(お玉)で細かく砕いてポリ袋に入れ、60~80℃のお湯に溶かします。還元剤(ハイドロサルファイド)、アルカリ剤(ソーダ灰)を混ぜてポリ袋の空気を抜いて口を閉じ、還元が終わるまで待ちます。還元が終わると、藍色が黄緑から深緑に変わります。

これをお湯を入れた大きなポリ袋に入れて、染液とします。

今回のキットは染料を入れるものとしてポリ袋を使用します。口を占めると空気と遮断することができるため、酸化をなるべく防ぐことができ、バケツなどを用意する必要なくお手軽で画期的な方法なのですが、取り扱いには注意が必要です。今回は空気に触れさせないようにと気にしすぎたため、不注意で染めるものの出し入れ時にこぼしてしまい、周辺の物に色が移ってしまいました。
染液から取り出した後、最初は染まっていないように見えますが、空気に触れて徐々に酸化されることで色が付いていきます。完全に参加してからぬるま湯で余分な染液を洗い流します。
犬毛と羊毛は染液から取り出した後、ぬるま湯で優しく2回押し洗い、洗濯機で脱水した後、お酢でリンスして色止めしています。リンス後再度ぬるま湯で洗い、脱水したあと、丁寧にほぐして広げて陰干ししたら完了です。
染めたものと結果がこちらです。

ダマになってしまっていたところは染液が浸透せず染まっていませんでしたが色味としてはしっかり藍色になりました。
たくさん染めて染液が薄くなったり、酸化が進むと淡い色にしか染まりません。実際一晩経った染液で染めてみましたがほとんど染まりませんでした。口をしっかり閉じ、床暖房で保温していましたが、意一晩でばっちり酸化が進み、染液はほぼ藍色に戻っていました。写真では赤紫っぽいですが、藍色です。前日の黄緑色の染液とはずいぶん違います。

一晩おいた染液で染めたものがこちらです。薄っすら染まったという感じです。

2番染(2025年3月)
1番染めの染液がしっかり藍色で、まだまだ染められそうだったのでポリ袋のまま保管しておきました。2ヶ月後、還元剤を買い直したので再度藍染めに挑戦しました。
まずポリ袋のままパスタ鍋に入れて染液を80℃近くまで加熱し、新たに用意した還元剤を入れて染液を復活させました。

今回染めたのは羊毛(白の原毛)、玉ねぎ染めした羊毛とチャウチャウ犬毛(エイドリアン)、前回中途半端にしか染まらなかったチャウチャウ犬毛(ティティ)です。

左から順に染めたので、羊毛はそれなりに染まりましたがチャウチャウ犬毛の方はあまり色の変化がありませんでした。
染める力が弱まるとこんな感じで染液が淡い黄緑色になります。ここまでくると染液を使い切った感がありますね!

染液から取り出して直ぐは染液と同じ黄緑色をしていますが、空気に触れて徐々に酸化されて緑→青と変化していきます。完全に酸化するまえに洗ったりお酢でリンスしてしまうと繊維に染料が定着し辛いのでご注意を。

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